「#わたしの推し米」は千葉県産の「ふさおとめ」
私の両親は千葉出身です。私が60歳過ぎているので、両親とも他界してますが。
子供の頃は毎年夏になると母方の実家に預けられました。
商売しているので夏休み中、一日家に子供がいるのが邪魔だったからと思われます。
母方の実家はサラリーマンでしたが、父の実家は農家でした。時々はこちらにも遊びに行きました。
平屋ながら広く、東京の私の家は自分の部屋さえなかったから、その広さはうらやましかったけれど、奥のほの暗い部屋は子供心に怖かった。横溝正史の小説に出てくる雰囲気でしょうか。藁葺き屋根の黒い柱の家。
私の子供の頃だから、昭和もいいところで、お盆で一族中集まってごちそうを頂きました。スイカを思いっきり食べられたのが嬉しかったです。
外房の農家では何故か巻き寿司がはやっていて?(それとも伝統なのか未だにはっきりしませんが)どの家に呼ばれても立派な巻き寿司が出されます。
なんと金太郎飴のように、模様が作られていて、梅の花だったりチューリップだったり、そのほかこった模様が巻き寿司の切り口に作り出されていて、それぞれの家の主婦がご自慢の模様を描き出していて、みごとです。
子供の頃は残念ながらお米の味の違いなど分かるはずもなく、中に入っている具の味でおいしいと思っていました。スイカの方が好きでしたし。
結婚して親類に挨拶回りに行ったとき、どの家でもこの巻き寿司が出され、初めて私の親類に会った夫は、出されたものを食べきらないと失礼と思ってどの家でも一生懸命食べて、おなかがパンパンになってしまいました。農家だったのでお米が一番のごちそうだったのでしょう。
お土産にはいつもお米を頂きました。たいていは精米された自家用のお米を下さったのですが、丁度精米したのが切れてしまったと、玄米を頂いたときがありました。
くれるものは断らない私でしたが、玄米をうまく炊くことが出来ず、家庭用精米器を慌てて買いました。ぬかがすごく出来るので、ぬかみそを作りましたが、それでも余るので、後は捨ててしまい、容器をあらっていたところ、台所の排水溝が詰まってしまったことがあり、始末に苦労しました。叔父も叔母ももう亡くなってしまい、お米を送ってくれることもなくなりましたが、あのときの経験があるので、ぬかがどれほど出来るのか、などの貴重な体験をさせて貰いました。
千葉のお米は、(当時にはまだ「ふさおとめ」は無かったと思います)思ったよりもっちりしています。おいしいです。
「ふさおとめ」は千葉のお米のせいか、封を開けたときの香りが、かつて親類から送って頂いたお米の香りに似ている気がして、なにやら懐かしさを感じます。
あの、模様をおりこんだ太巻き寿司を思い出させます。
作ってくれた叔母たちも、もうこの世にいませんが、きれいな梅の花を描いた巻き寿司が、今も脳裏をかすめます。